研究概要 |
1. ビオローゲンを修飾したミオグロビンの調製とその酸化還元挙動ーメトミオグロビンの表面に存在するリシン残基に1-メチル-1'-カルボキシメチル-4,4'-ビピリジニウムイオンを修飾し、1:1型ビオローゲン修飾ミオグロビンを調製した。ビオローゲン修飾ミオグロビンの異性体相互の分離とその収率の改善を検討した(論文1参照)。 2. 一分子内に電子キャリヤーを結合させた亜鉛ポリフィリンの合成と性質ーN-アルキルポルフィリンを用いてビオローゲンを面上から結合させたテトラフェニルポルフィリンおよびその亜鉛錯体を合成し、その蛍光寿命が二成分となることがわかった。これは配向の異なる二つのコンフォーマーの存在によることが推定された(投稿中)。また、N-アルキル亜鉛ポルフィリンは可視光照射によるビオローゲンラジカルカチオン生成の良好な触媒であることがわかった(日化第65春季年会発表予定)。 3. 亜鉛ポルフィリンを再構成させたミオグロビンの光誘起電子移動反応ー種々の消光剤を用いて亜鉛ミオグロビンの光誘起電子移動反応機構を検討し、亜鉛ミオグロビンのコンフォメーション変化が重要な役割をしていることがわかった(論文2および投稿中)。 4. マグネシウムポルフィリンを再構成させたミオグロビンの光誘起電子移動反応ーマグネシウムミオグロビンの光誘起電子移動反応は亜鉛ミオグロビンの場合とほぼ同様の傾向であり、反応速度も類似していることがわかった。これは、これらのミオグロビンのコンフォメーション変化が光誘起電子移動反応を支配していることを支持している。 5. 光学活性ビオローゲンの合成と性質ー光学活性ビオローゲンを新たに開発し、L-アスコルビン酸ナトリウムやL-グルタミン酸ナトリウムと会合錯体を形成し立体選択性を示すことがわかった。今後、光誘起電子移動反応への発展が期待される。
|