リンポポ帯の高変成岩に関与した流体とチャノッカイトとの関係

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03453055
• 研究機関: 筑波大学
• 研究代表者: 宮野 敬 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (60133039)
• 研究分担者: 末野 重穂 筑波大学, 地球科学系, 教授 (30110513)
• キーワード: リンポポ帯 / 高変成岩 / 流体 / チャノッカイト / 始生代 / ジンバブエ / 変成作用 / グリーンストーンベルト

研究概要

リンポポ帯(ジンバブェ、ボツワナ、南アフリカ)から採集した高変成岩(チャノッカイトを含む)の薄片は500枚以上作成され、顕微鏡観察と化学分析用に処理された。構成鉱物の化学分析はX線マイクロアナライザーによって行われ、現在までに3000点以上の分析結果を得ている。これらの分析データに基づいて変成時およびチャノッカイト形成時の温度・圧力条件を決定し、PTパスの推定が行われた。また、岩石中の磁鉄鉱及びチタン鉄鉱の組成から岩石の酸素分圧を決定したところ、チャノッカイトの酸素分圧は周囲の岩石に比べて高く、酸化的な環境を示していることが新たに発見された。岩石の全岩化学組成(主要元素)は蛍光X線分析装置を用いて100サンプル以上分析された。その結果、チャノッカイトの化学組成が周囲の岩石と異なることが明らかになった。微量元素については現在も継続して分析中である。顕微鏡用加熱・冷却台による流体包有物の組成分析(現在ボツワナの試料のみ)では炭酸ガスに乏しく水に富む包有物しか観察されていない。現在、これが高変成時の組成を反映したものか検討中である。変成時の年代については、リンポポ帯南縁部のボーリンクコア(角閃岩相)の同位体比(Rb/Sr,Sm/Nd)を質量分析計にて測定したところ、27億年という結果を得たが、これは中央部の高変成帯から報告されたものと調和的である。

研究成果

• [文献書誌] Miyano,T.: "Peak metamorphic conditions of 〓apphirine-bearing rocks in the Rhenoster Koppies greenstone belt,northern Kaapuaal craton,South Africa" The Archaean:Terrains,Processes,and metallogeny.Ged.Dept.& Univ.Extension The Uniuersity of Westem Australia. 22. 73-87 (1992)
• [文献書誌] Tsunogae,T.: "Metamorphic P-T Profiles from the Zimbabwe Craton to the Limpopo Belt,Zimbabwe" Precambrian Researoh. 55. 259-277 (1992)
• [文献書誌] 角替 敏昭: "ジンバブエ・リンポポ帯北縁部に産する始生代石英長石質グラニュライトの酸素分圧変化" 岩鉱. 88. 34-40 (1993)
• [文献書誌] Nisimoto,S.: "Texture and Zonal Structure of K-feldspar pheno cryst from granitic rocks in the Tsukuba" Annual Rept.Institute of Geoscience,The University of Tsukuba. 17. 79-84 (1991)
• [文献書誌] Arakawa,Y.: "Rb-Sr ages of mefamorphic rocks in the Rhenoster Koppies Greenstorc belt,northem Kaapsaal Craton,South Africa" Annual Rept.Institule of Geoscience,The University of Tskuba. 18. 80-84 (1992)
• [文献書誌] Hisada,K.: "Sapphirine-Cordievite symplectites in aluminous magnesion granulites from Baines Drift the Central Zone of the Limpopo Belt,eastem Botswana" Annual Rept.Insfitute of Geoscieucl,The University of Tsukuba. 18. 85-89 (1992)