研究課題/領域番号 |
03453056
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
中野 孝教 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (20155782)
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研究分担者 |
梶原 良道 筑波大学, 地球科学系, 教授 (80015578)
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キーワード | ストロンチウム同位体 / 硫黄同位体 / ネオジウム同位体 / 水・土壌生態系 / 地化学探査 / スカルン鉱床 / レアアース |
研究概要 |
平成五年度は、本研究の最終年度であり、過去二年間にわたり開発した元素・同位体分析システムについてまとめを行うと共に、本システムを様々な地質体に対しで適用した。特に、元素・同位体による資源探査への適用、更に地球環境問題への可能性を図るために、水・植物・土壌系への適用を試みた。 今回開発した通常の陽イオンクロマトグラフィーに高速液体クロマトグラフィー装置を組み合せた方法により、レアアース元素(REE)の定量、Sr・Nd同位体の同時分析が可能となった。本法は、多試料分析が可能な自動分析システムであり、Ce同位体分析などにも適用できる利点があり、まとめた結果を現在Chemical Geologyに投稿中である。 水・植物・土壌系を利用した資源探査を行う上で、同系における物質循環様式について明らかにすることが重要とされている。それはまた、酸性雨に伴う森林破壊・土壌劣化を理解する上でも不可欠である。筑波大学・川上演習林において本システムの適用を行った結果、植物に濃縮される元素、土壌に濃縮される元素の識別が可能となった。金・銅・鉛などの金属元素を今後併せて分析することにより、金属元素の地化学探査に有効な手法について開発できると期待される。温泉水のSr同位体組成は地質の違いを鋭敏に反映するため、貯溜層の岩石を識別することが可能となった。平成五年度より、浅熱水系金鉱床、地熱系のSr同位体分析を行っており、水のSr同位体組成を利用した資源探査への適用が今後期待される。また、近年注目されてきているSr同位体層状学の手法を有孔虫や貝化石に適用した結果、高精度で堆積岩の年代測定を行えることが明らかとなった。本法は未変質試料の場合には、有孔虫一個体でもその絶対年代をもとめることができるため、他の年代法との併用により、鉱床地質体の年代決定に今後広く用いられることが期待される。
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