研究課題/領域番号 |
03453057
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
島崎 英彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (50013751)
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研究分担者 |
清水 正明 東京大学, 総合研究資料館, 助手 (50162714)
今井 亮 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (90223304)
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キーワード | 流体包有物 / 鉱化流体 / 水素同位体比 / 熱水成鉱床 / 物質輸送 / マグマ水 / 天水 / 金鉱床 |
研究概要 |
本年度は3年計画の研究の最終年度にあたるため、専らデータの蓄積に努めたが、水の還元に必要な金属亜鉛については、昨年度以来様々な困難があり、種々試行錯誤した結果、最終的にはイギリスBDH社製のものが反応時間も極めて短く、また使用量も極めて少なくてすむことが判明し、この亜鉛を入手して以来飛躍的に簡単にデータの取得が可能となった。試料については、できるだけ異なる地質時代・地質環境の鉱床を選び、厳選した試料を用いた。その結果、本邦の鉱床としては新生代における比較的浅所での鉱化作用の代表として、鹿児島県の菱刈金鉱床について測定を集中した。また、やや古い時代の鉱化作用としては、韓国の白亜紀の金鉱床と中国のジュラ紀の金鉱床を取り上げ、比較的深所での鉱化作用における熱水の起源について考察する対象とした。これらの鉱床からの試料は、流体包有物の充填温度を測定する一方、酸素あるいは炭素・硫黄の同位体の測定が可能であるものについては、それを行うことにより、マルチアイソトープ研究の手法を模索した。 第四紀生成の菱刈鉱床の石英脈空の試料は、充填温度はほぼ200℃に集中する。水素同位体組成は本坑鉱床ではかなりのばらつきを示すものの、-60〜-70〓程度の値を示す。これにたいし、測定数は少ないものの、山田鉱床からの試料は、-80〜-90〓程度の値を示し、明らかに本坑鉱床の値とは異なる。本坑鉱床からのデータは、これまでに得られている酸素同位体組成のデータと組み合わせることにより、天水起源の熱水が関与したものと断定できるが、山田鉱床については、熱水の沸騰などの効果を考える必要がある。中生代の韓国と中国の金鉱床のデータは、-70〜-90〓程度の値をもつが、かなり変化にとみ、マグマ水・天水・層間水・変成水等の複雑な寄与が考えられる。
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