研究概要 |
複数の鉱物が水中に存在する場合、各鉱物から溶出するイオンのため、液相および固一液界面では様々な現象が生じ、浮選の実操業に種々の複雑さがもたられさることになる。本研究では、各種塩類鉱物を試料として用い、複数鉱物共存系で生じているこのような現象を解明するとともに、優先浮選に有用な新しい捕収剤を見いだした。ここで得られた主な成果をまとめると、以下のようである。 1.炭酸塩鉱物一水系が、接触開始から大気との平衡に到達するまでの過程は2つのタイプの大別でき、これは溶解度積と密接な関係がある。 2.複数鉱物共存系におけるイオンの溶出・吸着や沈澱生成などの現象は溶解度積の規制の下に進行し、液相条件により鉱物表面の性状および浮選挙動が共存相手鉱物に類似するよすになることがある。 3.オレイン酸サルコシン,sodium octadecylsulfsuccinamate、n-tallow-1,3-diaminopropane dioleateは、塩類鉱物構成イオンとの反応において選択性を有する界面活性剤であり、いずれも塩類鉱物の浮選に捕収剤として用いることができる。 4.n-tallow-1,3-diaminopropane dioleateは、浮選パルプの主要溶出イオンとの反応性に乏しく、塩類鉱物の優先浮選における捕収剤に適した性質を有している。適切なn-tallow-1,3-diaminopropane dioleateの添加濃度、pHの下で浮選することにより、調節剤を併用しなくても、塩類鉱物相互の浮選分離が可能である。 5.n-tallow-1,3-diaminopropane dioleateは両性界面活性剤であり、両性界面活性剤イオンとして存在する時の各塩類鉱物に対する吸着機構を見いだしている。
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