今年度は(1)メタンガス吸収能と(2)酸およびアンモニウム塩処理による表面改質の2テ-マに主眼を置いて実験を進めた。両実験とも常圧固定床流通方式を採用し、ガス分析にはガスクロマトグラフを用いたが、実験系統はそれぞれ独立した2系統とした。 メタンガス吸収能の実験では350℃で24時間焼成した粒〓2mm以下の太平洋炭礦産含ゼオライト岩のみを対象とした。試料ガスは炭礦のガス抜ガスを想定しCH_410.04%の空気混合ガスである。純メタン換算の積算吸収量は30℃の場合18.2m^3/tであったのに対し15℃で20.0m^3/t、0℃では27.5m^3/tで、低温側で吸収量が増加する傾向が現われた。このため今後より低温での吸収量を確認したい。この程度の吸収能があれば十分実用が可能であるが、更に能力の向上を計りたい。 一方、数種の北海道産天然ゼオライトに対しアンモニウム塩水溶液による処理を行った結果、2ーPAの脱水反応に対する触媒活性が著るしく向上することが知れた。この場合、処理法の違いおよびアンモニウム塩の種類による活性向上の差異はほとんど見られず、低濃度でも十分な処理効果が得られた。 また酸処理を行った活性はアンモニウム塩処理をしたものよりも低く、硫酸アンモニウム塩処理は2ーPAの脱水反応以外の酸触媒反応に対しても有効であることが明らかとなった。硫酸アンモニウム塩処理による天然ゼオライトの構造変化は起こらなかった。これにより触媒活性が向上するのは、天然ゼオライト表面上に新たなブレンステッド酸点が多数生成するためと考えられた。
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