研究概要 |
炭酸ソーダスラグの高純度銅製造への適用性に関する研究の一環として,本年度当初に計画した通り,Fe,Si,Teを不純物元素としてとりあげ,炭酸ソーダ系スラグ-溶銅間のこれら元素の分配比を推算するために必要な各種の熱力学的諸量を以下のような実験により決定した. (1)NaO_<0.5>-CO_2-XO_m系融体中のNaO_<0.5>の活量測定 (2)NaO_<0.5>-CO_2-XO_m系スラグ-溶銅間のXの分配比の測定 (3)種々のCO_2,0_2分圧下におけるNa_<0.5>-XO_m系融体のCO_2溶解度の測定 (4)NaO_<0.5>-CO_2-XO_m系融体中におけるXの賦存状態 上記4つの実験で得られた結果から,種々のCO_2,O_2分圧下における広い組成範囲のNaO_<0.5>-CO_2-XO_mスラグと溶銅間のXの分配比を算出し,決定した.現在は,不純物元素としてSeをとりあげ,研究を継続中である. 平成3年度までに行った炭酸ソーダスラグによる溶銅からのSb,As,Sn除去に関する研究の成果をも含めて評価すれば,炭酸ソーダスラグ処理は銅中の各種不純物元素の除去に効果的であり,上述の不純物元素は,Si>As>Sn>Fe>Sb>Teの順に高い除去効率が得られることがわかった. 一方,炭酸ソーダスラグでは除去が困難な不純物元素(Biなど)は,M-MF_2-MCl_2系スラグを用いた還元精錬によってもその完全な除去は困難であることがわかってきた.そこで現在は,還元精錬とゾーンメルティングを組み合わせたプロセスについて検討中である.
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