長繊維強化セラミック複合材料の破壊機構と破壊力学

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03453073
• 研究機関: 豊橋技術科学大学
• 研究代表者: 逆井 基次 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (50124730)
• キーワード: 繊維強化 / セラミック複合材 / 強度 / 破壊靭性 / 破壊物理

研究概要

長繊維強化セラミック複合材料に焦点を当て、(1)微視的な破壊機構を検討する中で繊維強化複合材料の破壊物理の基礎を実験・理論の両面から明らかにし、(2)これらの成果を基にセラミック複合材料の高強度化、高靭化に関する理論的な考察を行い、研究成果は国際誌を中心に10の学術論文として公表された。
長繊維強化セラミック複合材料の高強度化、高靭化に支配的な影響を持つ微視的破壊機構として、(a)脆性セラミックスからなるマトリック部での破壊、(b)破面間に形成される繊維架橋、(c)マトリックスからの繊維引き抜きの重要性を明確にし、これらの微視的機構に基づく高靭化の理論考察を行った。更に上記の3つの重要な微視的破壊の素過程を定量的に分離評価するための実験手法(マトリックス破壊靭性値測定法、繊維架橋R-曲線測定法、繊維引き抜きエネルギー測定法)を開発した。また繊維架橋分布を定量的に評価するための理論と解析手法を開発した。これらの実験・解析手法を用い、(a)1軸強化炭素繊維/炭素複合材料、(b)2軸強化炭素繊維/炭素複合材料、(c)1軸強化炭素繊維窒化珪素複合材料の破壊物理を実験、理論の両面から検討し高靭化の材料設計を考察した。これらの成果を基に、(a)マトリックスと強化繊維の弾性率比、(b)繊維界面での剥離強度、(c)繊維径、(d)マトリックスの破壊靭性値、(e)強化繊維強度、(f)強化繊維のワイブル係数、が複合材料高靭化における最も重要なパラメータであることを明らかにした。

研究成果

• [文献書誌] M.Sakai: "Fracture mechanics and mechanisms of fiber-reinforced brittle matrix composites" J.Ceram.Soc.Jpn. 99. 983-992 (1991)
• [文献書誌] T.Miyajima,M.Sakai: "The fracture toughness for first matrix cracking of a unidirectionally reinforced carbon/carbon composite" J.Mater.Res.6. 2312-2317 (1991)
• [文献書誌] M.Sakai: "Analysis of fiber-bridging by extended Dagdale model" ISIJ Int.32. 937-942 (1992)
• [文献書誌] T.Suzuki,M.Sato,M.Sakai: "Fiber pullout processes and mechanisms of a carbon fiber reinforced silicon nitride ceramic composite" J.Mater.Res.7. 2869-2875 (1992)
• [文献書誌] T.Suzuki,T.Miyajima M.Sakai: "The role of fiber/matrix interface in the first matrixcracking of fiber-reinforced brittle matrix composites" Comp.Sci.Tech.(1993)
• [文献書誌] E.H.Lutz,M.Sakai: "R-curve and compliance change upon renotching" J.Am.Ceram.Soc.(1993)