1. 研究実績概要 長繊維強化セラミック複合材料に焦点を当て、(1)微視的な破壊機構を検討する中で繊維強化複合材料の破壊物理の基礎を実験・理論の両面から明らかにし、(2)これらの成果を基にセラミック複合材料の高強度化、高靭化に関する理論的な考察を行った。研究成果は国際誌を中心に10の学術論文として公表された。 2. 成果 (1)長繊維強化セラミック複合材料の高強度化、高靭化に支配的な影響を持つ微視的破壊機構として、(a)脆性セラミックスからなるマトリックス部での破壊、(b)破面間に形成される繊維架橋、(c)マリックスからの繊維引き抜きの重要性を明確にし、これらの微視的機構に基づく高靭化の理論考察を行った。 (2)上記の3つの重要な微視的破壊の素過程を定量的に分離評価するための実験手法を開発した。 (3)これらの実験手法を用い、(a)1軸強化炭素繊維/炭素複合材料、(b)2軸強化炭素繊維/炭素複合材料、(c)1軸強化炭素繊維/窒化珪素複合材料の破壊物理を実験、理論の両面から検討し高靭化の材料設計を考察した。 (4)上記(1)-(3)の成果を基に、(a)マトリックスと強化繊維の弾性率比、(b)繊維界面での剥離強度、(c)繊維径、(d)マトリックスの破壊靭性値、(e)強化繊維強度、(f)強化繊維のワイブル係数、が複合材料高靭化における最も重要なパラメータであることを明らかにした。
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