研究概要 |
1.長繊維強化系のセラミックス複合体について,圧縮,引っ張り,剪断の各負荷中における破壊挙動の観察と,その際の臨界応力値の測定を行った.圧縮試験は角柱状試顕片を使って,繊維配向方向とそれに垂直な方向とについて行った.剪断試験は前述の圧縮試験の際の負荷方向を変えて実施すると共に,新たにダブルノッチ法でデータを求めることも試みた.引っ張り試験は,曲げ試験の際の試片厚みに対するスパン比を大きくすることによって実施した.そして以上の測定結果を集約し,現実の使用条件下で,この種の複合強化セラミックスが示す複雑な破壊挙動を,内部応力の分布と関係付けて説明した.その結果,この種の長繊維複合強化セラミックスの臨界破壊条件(負荷の最大値)を支配する要因について,より明確な議論が可能になったと考えている. 2.複合強化セラミックスの高温構造特性を体系化する上で一番重要と考えられている.ゆっくりしたき裂成長現象(SCG)について,1400℃までの高温曲げ負荷試験を実施し,破壊源からのき裂成長挙動を破面観察すると同時に,き裂成長パラメータ(n)を評価した.実験手段は,ビッカース圧子押し込み予き裂(CSF)試片の曲げ試験法を重点的に採用したが,その際の予き裂導入法にはいくつかの独自の改良を検討し,結局,超音波加工機を使って,ビッカース圧痕直下のプロセス域を加工除去する方法が,簡便で的確な手法になり得ることを提案した. 3.以上の研究成果を,昨年度までの研究成果と合わせて成果報告書とし,新しく生まれて来つつある複合強化系セラミックスについての,機械的特性評価手法とその結果の解釈に対する我々の意見とした.
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