研究概要 |
本年度は研究は申請時の計画通り進行し,以下の点を明らかにした。 1.活性点の三次元制御によるゼオライトの分子識別能の高度化 (1)種々の金属イオン交換ゼオライト上でのNOの吸着能を調べ,アルカリ金属,希土類金属イオンおよびプロトン交換体ではほとんど吸着しないこと,アルカリ土類金属イオン交換体では可逆吸着量より不可逆吸着量が大きいこと,遷移金属イオン交換体では可逆,不可逆吸着量ともに大きいことを明らかにした。 2.低級オレフィンの直接アミノ化反応に有効な触媒系の開発 (1)種々の固体酸及び塩基触媒の2ーメチルプロパンのアミノ反応について検討し,プロトン交換ZSMー5ゼオライトが最も高い活性を示すこと,活性はSiO_2/Al_2O_3比,ゼオライト構造に依存していること,tーブチルアミンへの選択性がゼオライトでは95%以上と高いこと,反応がブレンステッド酸点上で進行していることを明らかにした。 (2)水添加系でエテンのアミノ化反応活性は,プロトン型ゼオライト>金属イオン交換ゼオライト>金属酸化物の序列となった。また,モノエチルアミンへの選択性は33ー77%であり,ゼオライト構造により変化した。 3.一酸化窒素用CuーZSMー5ゼオライトの反応活性点の設計と合成 (1)銅ゼオライト触媒上で酸素と炭化水素ガスが共存すると,低温でNO分子のみが高効率で選択的に還元されることがわかった。さらに,本反応はSO_2存在下でも選択的にNOが還元されることが明らかとなった。 (2)種々のカチオン交換ゼオライト上でのNO還元反応について検討し,銅イオン交換体以外でも,Hー,Coー,Agー,ZnーZSMー5が本反応に対して,523ー773Kの温度範囲で活性であることがわかった。
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