モルデナイトの脱アルミニウムに成功し、アルミニウム含量が少なく、格子欠陥の多いモルデナイトが調製できるようになった。Atom-Planting法により、このモルデナイトにアルミニウム、ガリウム、アンチモン及びチタンを導入する事に成功した。この事は、前3者については、赤外吸収スペクトルの測定で、各々に特有な波数に酸性OH基の吸収が見られる事、またチタンについては、骨格Si-O-Tiの振動に基づく吸収がみられることより確認された。さらにガリウムの結晶骨格中への導入は、MAS-NMRによるガリウムの測定からも確かめられている。 これらモルデナイト型のメタロシリケートの触媒作用については、トルエンの不均化反応及びトルエンの過酸化水素による液相水酸化をモデル反応にして検討した。その結果、Atom-Planting法でアルミニウムを導入したモルデナイトは、水熱合成で調製したモルデナイトよりも、トルエンの不均化反応に高い活性を示すことを見いだした。しかし、ガリウム及びアンチモンを導入したメタロシリケートは、残存するアルミニウムに起因する酸性が強いため、その影響により独自の活性が得られなかった。また、モルデナイト型チタノシリケートは、トルエンの液相水酸化において、MFI型チタノシリケートよりも高い活性を示した。これは細孔の入口径がモルデナイト型の方が大きいため、液相での反応物あるいは生成物の細孔内拡散が速いことに原因があると思われる。 昨年度調製に成功したMFI型フェリシリケートの触媒作用について引き続き研究した。その結果、この触媒は、担持酸化鉄触媒に比べて、CO酸化活性が低いこと、ブタンの酸化脱水素によりブテンが選択的に合成できること、酸素存在下、NOのNH_3による選択的還元を促進することを見いだした。
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