研究概要 |
本研究では好熱性水素酸化細菌Bacillus schlegeliiからのヒドロゲナ-ゼの精製を行った。本ヒドロゲナ-ゼは膜結合型であったので、まず非イオン性界面活性剤Brij58による可溶化を行った。可溶化後、陰イオン交換、ゲルろ過、ヒドロキシアパタイト、疎水性相互作用クロマトグラフィ-を行うことにより電気泳動的に均一なヒドロゲナ-ゼを得た。ゲルろ過法により本ヒドロゲナ-ゼの分子量は約100,000と求った。本ヒドロゲナ-ゼは分子量66,000、28,000の二つのサブユニットより成る二量体であった。ICP発光分析、電子スピン共鳴、吸収スペクトル等の測定より、本ヒドロゲナ-ゼは、分子中に鉄硫黄クラスタ-とニッケルを含む鉄ニッケルヒドロゲナ-ゼであることがわかった。酵素一分子中に含まれる鉄とニッケルの割合は、約7対1であった。 本ヒドロゲナ-ゼの基質特異性を調べると、これまでに報告されている中温性水素酸化細菌由来の膜結合型ヒドロゲナ-ゼと同様な傾向を示した。本ヒドロゲナ-ゼを触媒とする水素によるメチレンブル-還元反応では、反応温度を30度から90度までに変化させると、反応温度の上昇とともに反応速度は増加した。60度において12時間熱処理した後でも、ヒドロゲナ-ゼ活性は90%以上保持されていた。このことから、本ヒドロゲナ-ゼは高い熱安定性を示すことが明らかとなった。また、本ヒドロゲナ-ゼは還元型メチルビオロ-ゲンからの水素発生反応を触媒する事もわかった。
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