研究課題/領域番号 |
03453085
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
笛木 賢二 名古屋大学, 工学部, 教授 (90023027)
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研究分担者 |
宮崎 哲郎 名古屋大学, 工学部, 助教授 (90023126)
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キーワード | 極低温化学反応 / トンネル反応 / 固体水素 / パラ水素 / オルト水素 / ESR線幅 / 捕捉サイト / 反跳トリチウム反応 |
研究概要 |
1.固体水素中のトンネル反応の速度定数 低温での触媒反応により通常の水素(nーH_2)中のオルト水素(oーH_2)をパラ水素(pーH_2)に転換し、pーH_2のr線照射により生成する水素原子の減衰をESRにより測定し、nーH_2中の減衰と比較した。この結果から、pーH_2中のH原子の減衰速度はoーH_2中のそれの約3倍であることを見出した。これは、4.2KでpーH_2とoーH_2の回転量子数がそれぞれOおよび1であることと関係していることを指摘した。 2.固体水素中における水素原子の捕捉サイトの構造 電子スピン状態の禁制遷移に相当するESRスピンフリップ線の解析から、4.2K固体水素中における水素原子の捕捉サイトの構造について知見を得ているが、更にESR線幅の解析から捕捉サイトを調べ、スピンフリップ線の解析結果を支持する結果を得た。すなわち、実験的に測定された線幅と理論的に計算された線幅が一致するサイトの構造を決定し、固体H_2中のH原子は置換型サイトに、固体HDおよびD_2中のH(D)原子は格子間型サイトに捕捉されることを結論した。 3.固体水素中の反跳トリチウムの反応 4.2K固体H_2ーD_2混合系中の反跳トリチウム(T)原子の反応を水素同位体生成物の分析により調べた。生成物HTとDTの和に対するHTの割合はH_2ーD_2混合系中のH_2のモル分率にほぼ等しい。この収率を4.2KH_2ーD_2四合系のr線照射によって生成するH原子の収率と比較した。HTの生成は主として反跳T原子によるH_2またはD_2からの水素原子引き抜きによること、また同位体効果の測定から4.2Kにおいて反跳T原子の90%以上が熱平衡化前に水素分子と反応することを結論した。
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