研究課題/領域番号 |
03453088
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤本 博 京都大学, 工学部, 教授 (40026068)
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研究分担者 |
畑上 到 熊本大学, 工学部, 講師 (50218476)
植村 榮 京都大学, 工学部, 教授 (70027069)
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キーワード | 有機金属化合物 / ケイ素化合物 / 置換反応 / 超原子価 / 分子軌道法 / 電子の非局在化 / 軌道相互作用 |
研究概要 |
本研究において、平成4年度に得られた研究実績の概要は以下の通りである。 1.有機ケイ素化合物は高い反応性と高い位置選択性を有し、合成化学上きわめて有用性が高い。とくに、対応する炭素化合物と比較して、5配位あるいは6配位といった超原子価をもつイオン種が相対的に安定で、反応の中間体あるいは遷移状態として重要な役割を果たしていることが実験的に推測されている。そこで、モデル系としてSiH_3F_2^-およびSiH_2F_3^-をとりあげ、これらがH^-およびF^-と反応して配位子を交換する場合について、6配位の遷移状態構造を非経験的分子軌道計算によって定め、その活性化エネルギーを計算して、どのような方向から攻撃アニオンが接近しやすいかを明らかにした。さらに、炭素化合物とケイ素化合物の反応性および結合の違いを、本研究者らが開発した相互作用軌道対の方法により可視化し、明快に捉えられることを示した。 2.炭素クラスターと遷移金属の錯体について、その相互作用の様子を軌道対で表現し、両者間の相互作用がきわめて局所的で、通常のアルケン分子の場合とほとんど同じであることを明らかにした。同時に、その位置選択性についても考察し、大きな分子の反応を理論的に表現するうえで有用な軌道相互作用の新しい考え方を示した。 3.種々のテルリド化合物を酸化して得られるテルロキシドの脱離反応によりアルケンを生成する反応について、添加アミンが果たす役割を実験的に明らかにし、その反応機構をセレノキシド脱離の場合と比較して考察した。 以上の結果の一部は投稿中である。
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