平成4年度には、平成3年度に引き続いて行った二波長励起光ゲート型PHBの研究および半導体マトリックス中での電場ゲート型PHBの研究を行った。二波長励起光ゲート型PHBについては、亜鉛ポルフィリン誘導体(ZnTTBP)を色素とし、前年度発見したグリシジルアシドポリマーをマトリックスとする系に続いて、今年度は、アシルオシキイミノ基を含むポリマーやポリビニルーPーアジドベンザル中においても、ZnTTBPによる二波長増感型PHBが観測されるようになった。マトリックスポリマー中の光反応基の励起三重項準位が高いものの方が、一光子による増感反応を抑制できて、ゲーと比を大きくするのに好ましいようである。 光以外の方法でホール形成にゲートをかけることのできる新しい材料の実現を目指して、電場ゲート型PHBの研究を行った。電場ゲート型PHBを実現するためには、電荷分離の条件としてマトリックスが半導体性を持つ必要があり、透明性などその他いくつかの条件を合わせ持つ半導体として酸化チタンを選択し、ZnTTBPをPHB色素分子として、色素ー半導体複合膜をゾルゲル法によって作成し、そのPHBおよび室温での光イオン化に対する電場効果を調ベた。 PHBホールの形成は一波長、二波長照射ともに効率が低く、200Vの電場を印加して色素レーザーを15分照射したときのホール形成効率は2×10^<-7>であった。電場を印加しない場合でも、同じ条件の照射では同程度のホールが得られ、今回の試料では電場ゲート効果は観測されなかった。これは、ZnTTBPから酸化チタンマトリックスへの光誘起電子移動は生じているにもかかわらず、今回ゾルゲル法で作成した酸化チタン(100℃まで加熱)がまだ十分半導体としての物性を備えていないためと思われる。
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