研究概要 |
科学研究費の配分内定通知が11月1日と遅かったために,主要設備のレオメ-タを購入したのは本年2月であった。しかるに,レオメ-タによる無機粒子ー高分子分散系のレオロジ-挙動に関する研究は,着手したばかりである。一方,無機粒子表面への高分子吸着については,次のような結果が得られた。 1)高分子には,水溶性高分子であるヒドロキシプロピルメチルセルロ-ス(HPMC)の分子量の異なる3種類のものを使用した。無機粒子には,無孔性シリカであるアエロジル130を用いた。 2)吸着の動力学からHPMCのシリカへの吸着は,8時間以内で吸着平衡に達することが分り,吸着等温線は吸着時間を24時間と決め,求めた。 3)各々の吸着等温線は,HPMCのかなり広い分子量分布(Mw/Mn〜10)のために,いわゆるroundーshape型をしていることが分かった。また,吸着等温線のプラト-領域における吸着量は分子量と共に増加することが分った。 4)シリカ濃度を変化させて求めた吸着等温線から,プラト-領域に達するまでの立ち上がり部分のHPMCの上澄み溶液の濃度依存性は,シリカ濃度の増加と共に弱くなることが分かった。これら吸着等温線は,CohenーStuartらの理論との比較より一本の曲線に重ね合わせられることを明らかにした。 5)全ての吸着等温線は,上澄み溶液濃度に対するシリカ濃度の比に対するHPMCの仕込み濃度とシリカ濃度との比のプロットに重ね合わせられることが分かった。この曲線からHPMCの仕込み濃度とシリカ濃度を決めれば,吸着量が計算できる。
|