無機粒子にはその表面特性が充分明かになっているアエロジルシリカ粒子を用い、水溶性高分子であるヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を吸着させて、シリカ粒子のサスペンションを調製し、そのレオロジー挙動をHPMCあるいはシリカ濃度を変えて検討したところ、次のような結果が得られた。 1 シリカサスペンションのせん断応力をせん断速度を変えながら測定した。せん断応力が時間と共に増加し構造の形成を意味するレオペクシーが観察された。このレオペクシー挙動は、シリカ濃度が高くなるとより高いせん断速度まで観察され、時間の経過と共に定常値に達することが分かった。特に、シリカ濃度が7.5%を越えると低いせん断速度においてオーバーシューティングと呼ばれる現象も観察された。 2 定常状態に達したせん断応力とせん断速度とのプロットの多くは、分散系に特徴的なshear-thinningを示した。しかしながら、シリカ濃度が7.5%を越えるとせん断応力ーせん断速度曲線に山、すなわちshear-thickenningが観察された。山の観測されるせん断速度はシリカ濃度と共に増加することが分かった。このように低いせん断速度でshear-thickeningが観察されることは、今までに報告されていない。このshear-thickeningの起こる原因はシリカ粒子の凝集性と深い関係があると考えられる。このことは、シリカサスペンションの動的粘弾性の測定から貯蔵弾性率にいわゆる内部構造の存在を示す第二平坦部が存在することからも分かる。さらに、シリカに吸着したHPMCの一部を脱着させた後でもせん断応力に山が観察されることと、その貯蔵弾性率の絶対値が低くなっても依然として第二平坦部が観察されることからも支持される。
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