研究課題/領域番号 |
03453121
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
斎藤 正三郎 東北大学, 工学部, 教授 (00005224)
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研究分担者 |
猪股 宏 東北大学, 工学部, 助教授 (10168479)
大沢 雅俊 東北大学, 工学部, 助教授 (00108466)
今野 幹男 東北大学, 工学部, 助教授 (40125547)
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キーワード | 超臨界, / 分光, / 溶媒和, / FTIR, / 蛍光スペクトル |
研究概要 |
本研究は、溶質分子のスペクトルの溶媒環境(溶媒種、温度、圧力など)への依存性から、超臨界流体中での溶媒和構造と分子間相互作用に関する知見を得ることを目的とする。本年度は、CO_2ーナフタレン系において、種々の濃度溶液の赤外吸収スペクトルを流体密度を変えて測定し、その吸光度からモル吸光係数の密度依存性を検討した。また超臨界CO_2中における安息香酸の分子間水素結合、超臨界CO_2におけるピレンの会合について検討した. 実験は、高圧光学セルを分光器のチャンバーに設置し、in-situで吸収スペクトルを溶質濃度(Molarity)一定で流体の温度、圧力を変化させて行った。FT-IRにはDigilab FTS-7R赤外分光光度計(分解能2cm^<-1>)、蛍光測定には日立蛍光分光光度形(F4010)を用いた. 超臨界CO_2中でのナフタレンの吸収スペクトル(1600cm^<-1>付近)の吸光度は、密度ともに増大する傾向がみられた.溶媒密度毎に最大吸光度を溶液濃度に対してプロットしたところ吸光度はモル濃度に比例しており、Beer-Lambert則が適用可能と考えられた.そこで、Beer-Lambert則から各密度でのモル吸光係数εを算出したところ、顕著な密度依存性がみられ、しかもεは密度(或はKirkwoodの誘電体関数)にほぼ比例して増大することが判明した.これは、密度変化に伴いCO_2が単一溶媒ながら密度に応じた溶媒環境を発現することを反映しているものと考えられる. 超臨界CO_2中での安息香酸のスペクトルには、1750cm^<-1>付近に安息香酸単量体のカルボニル基(>C=0)の吸収が、1705cm^<-1>付近に水素結合による2量体の吸収が観測された。安息香酸の各濃度において、単量体の吸光度は密度ともに増加したが、2量体の吸光度には極大値が見られた。Beer-Lambert則が成立しているものと仮定し、単量体および2量体のモル吸光係数を算出してモル濃度基準の平衡定数Kcを算出した。平衡定数は、圧力の増大とともに減少した。この結果は、溶質同士の2量化機構すなわち密度増加による溶媒和強化と脱溶媒による反応体積増加による結果と考察される。 超臨界CO_2中では、ピレンは10^<-4>Mという希薄濃度においてもエキシマー発光が観測され、会合体が形成されることがわかった.また、エキシマー割合は密度増大とともに低下することが判明した.
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