研究課題/領域番号 |
03453124
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
中野 義夫 静岡大学, 工学部, 教授 (30092563)
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研究分担者 |
清田 佳美 静岡大学, 工学部, 助手 (60216504)
須藤 雅夫 静岡大学, 工学部, 助教授 (80154615)
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キーワード | 高分子ゲル / 薬物送達システム / 放出制御 / 親水・疎水 / 吸着 / 膜電位 / イオン |
研究概要 |
生体の体内動態に基づく信号(温度、化学物質、pH等の物理化学的変化)に応答して、必要な量の薬物(あるいは情報伝達物質)を必要な時にのみ放出する自己制御型薬物放出システムの応答制御方法の確立を目的としてシステム(1);物理化学的制御法、システム(2);電気化学的制御法の2面から検討した。システム(1)では、Nーイソプロピルアクリルアミドと親水性モノマ-であるアクリルアミドもしくは疎水性モノマ-であるNーアクリロイルピペリジンをそれぞれ組成比を変えて共重合し、疎水性度の異なるゲルを作製した。これらのゲルの親・疎水的物性変化に及ぼすゲルの分子構造並びに熱刺激の効果を安息香酸とフタル酸(モデル分子)の吸着実験により検討し、以下の知見を得た。(1)作製したゲルは温度変化により体績相転移現象を示し、体績相転移温度を境に急激に親【double half arrows】疎水の物性変化を示す。(2)親【double arrow】疎水の物性変化を示す相転移温度はゲルの構成モノマ-の分子設計の段階で制御可能である。(3)ゲルの疎水化およびモデル分子の吸着現象は疎水性相互作用に基づいている。このため、イオン化した(pH>4)分子は吸着しない(pH依存性)。(4)吸着等温線はヘンリ-型となる。(5)温度スイングによりモデル分子の吸脱着が速やかにかつ可逆的に システム(2)では、電気刺激応答性薬物徐放システムの基礎的な研究として、電気のonーoffまたは電化の変位による膜特性の変化について検討した。ヌクレオフィルタ-の片面に金を蒸着し、ピロ-ルを高分子アニオンと同時に電解重合することにより、高分子アニオンを内蔵するポリピロ-ル膜が製膜できた。濃淡電池型の拡散セルにこの膜を挟み、膜の電位を変化させたときの濃淡NaCl水溶液の膜電位を測定した。この結果、膜電位をー0.8Vに制御すると膜電位は正となり、膜内は負電荷が固定され、陽イオンが進入する。一方、+0.4Vに制御すると膜電位は負となり、膜内は正電荷が固定され、陽イオンは排出し、陰イオンが進入することが解った。
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