研究概要 |
Bacillus.pumilusのキシラナーゼは、beta-キシロシダーゼの合成基質rho-ニトロフェニル-beta-_D-キシロピラノシド(pNPX)を加水分解できない。そこで、rho-ニトロフェニル-beta-_D-キシロピラノビオシド(pNPX2)を合成し、本キシラナーゼが作用するかどうか調べた。pNPX2の合成は、北岡等(1)の方法に従い、一部変更を加えた。変更点は、キシロビオースの代わりにキシロオリゴ糖(キシロビオース60%含有)を原料に用いた点と、合成後の精製に高速液体クロマトグラフィーを用いた点である。98%以上の純度を持つpNPX2標品を得た。この標品を基質に用いて分解活性を測定したところ、本キシラナーゼは、pNPX2を加水分解した。精製した酵素のpNPX2に対するKm値とVmax値は、それぞれ0.72mMと0.16U/mgであった。この結果より、pNPX2は、本キシラナーゼの有効な基質であり、キシラナーゼと基質の相互作用を調べるためのモデル基質になると判断した。 次に、pNPX2対する反応性の変化した変異型キシラナーゼの取得を試みた。NTG変異処理により得た10万個の変異体に対して検索したところ、pNPX2に対する反応性の高まった1株、XynAlを得た。精製したXynAlキシラナーゼの比活性は、野生型キシラナーゼの約5倍であった。反応性上昇の原因を調べたところ、Km値の減少ではなく、Vmaxの上昇であった。変異型遺伝子の塩基配列を決定し、アミノ酸配列の変異点を調べたところ、76番目のセリンがグリシンに変化した変異であった。変異部位は、大きな2つのベータシート間のライダムコイル上に位置していた。 (1)Kitaoka M.,Haga K.,Kashiwagi Y.,Sasaki T.,Taniguchi H.and Kusakabe I.1993.Kinetic studies on rho-nitrophenyl-cellobioside hydrolyzing xylanase from Cellvibrio gilvus.Biosci.Biotech.Biochem.57:1987-1989.
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