研究課題/領域番号 |
03453131
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松本 聰 東京大学, 農学部, 教授 (20032295)
|
研究分担者 |
渡辺 聡 東京大学, 農学部, 助手 (40220884)
妹尾 啓史 東京大学, 農学部, 助手 (40206652)
金沢 晋二郎 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (10011967)
小柳津 広志 東京大学, 農学部, 助教授 (70177301)
|
キーワード | 高性能土壌 / 多孔質素材 / 土壌微生物 / マイクロハビタット / γ-HCH分解菌 / γ-HCH連用圃場 / 微生物生態 / 長期生残部位 |
研究概要 |
炭素材(各種木炭)、石膏資材(autoclaved lightening concret)、セラミック(焼結珪藻土)および多孔質ガラス(micro pore glass)を用いて、これらが有する微細な種々の孔径の孔隙に土壌微生物が住処(マイクロハビタット)を獲得し、土壌中で安定な生化学反応が進行するかを調べた。基質としてブドウ糖・ペプトンをこれらの素材の孔隙に浸漬した後、通常の火山灰畑土壌の作土に2ヶ月間埋設し、孔隙に集まる微生物について調査した実験をまず行った。孔隙径が5μに統一されていた多孔質ガラスでは、その孔隙の深部には一種類の微生物が棲息していることを示唆する結果を微生物の増殖速度と顕微鏡による形態観察から得た。一方、種々の大孔隙から構成されている他の素材の場合は孔隙の入口、深部に関係なく種々雑多な大量の微生物が棲息していることが示唆された。これらの結果から、土壌に埋設する多孔質素材の性状と素材に含ませる基質とを厳格に規制することによって、きわめて多様な土壌微生物の母集団からある特定の微生物を精選し、住み着かせることができ、さらにその微生物の特有の生化学反応を土壌中で特定・強化させることが可能であると考えた。ついで、農薬γ-HCH分解菌(Sphingomonas paucimobilis SS86)を用いて、上記の推論をさらに確かなものにするため、γ-HCH連用圃場から土壌を採取してγ-HCH分解菌の生態を検討した。その結果、土壌団粒の微細な孔隙に本農薬を基質として予め浸漬しておくとSS86株はその部位に長期にわたって生残すること、このような生残は洗浄などの操作によっても容易には取り除くことが困難であることがわかった。粒径が画一化された多孔質ガラスを用いて、SS86株がマイクロハビタットとしてどの程度の孔隙径に住み着くかを検討した結果、孔隙径は10.4μであることが判明した。これらの実験から高性能土壌の開発の可能性を示した。
|