研究概要 |
染色体複製を同調化した大腸菌を用いて複製開始直後の菌体からDNAー膜複合体を調製した。複合体中の構成成分を明らかにするために以下のことをおこなった。まず複合体中の蛋白質をSDSーPAGE、銀染色を用いて解析したところ、17KDaの蛋白質が見い出された。分子量的に類似するヒストン様蛋白質HーNSとの異同を精製したHーNSおよび抗HーNS抗体を用いて調べた。17K蛋白質は抗HーNS抗体と反応しないこと、HーNSとSDSーPAGE上での移動度が異なることから、HーNSではないと結論した。しかしながら、複合体中にHーNSも微量ながら含まれていることが判明した。今後、17K蛋白質、HーNSを複合体構成成分の有力候補として、17K蛋白質の精製同定、HーNS欠失株中での複合体形成を検討していく予定である。次に、複合体中のDNAを特定するために、Koharaの全染色体入ファ-ジライブラリ-に対するハスブリダイゼ-ションをおこなった。その結果、少なくとも複製開始直後の複合体中にはoriC領域のみが含まれていることがわかった(Res.Microbiol.1991,142:155ー159)。 mre遺伝子による細胞分裂の制御では、mreBCD遺伝子の下流に存在する2つのオ-プンリ-ディングフレ-ム(orfE,orfF)のDNA塩基配列を決定した。orfEは591bpよりなり197アミノ酸、分子量21515の蛋白質を、orfFは1467bpよりなり489アミノ酸、分子量55363の蛋白質をコ-ドしていた(Gene,1991,106:135ー136)。今後,orfE,orfEの細胞分裂における役割を明らかにしていく予定である。
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