Aspergillus oryzaeが誘導的に生産するタカアミラ-ゼA(Taa)の遺伝子発現制御機構の解析を行い、次の事を明らかにした。 Taa遺伝子の5'非翻訳領域を種々欠失させた遺伝子を大腸菌を宿主とした系で調製し、それらの遺伝子の発現効率をAspergillus nidulansを宿主として、アミラ-ゼの生産量から解析するとともに、Taa遺伝子の発現調節領域を明らかにした。Taa遺伝子の転写開始点から上流325塩基対DNA断片上に本遺伝子の発現を制御する活性が存在し、又このDNA断片には真核生物の遺伝子に特徴的な塩基配列CCAATーboxやGCーboxのようなシスエレメントが含まれている事を明らかにした。次いで、これらのエレメントに結合し、遺伝子の発現制御を司る核タンパク質の存在を明らかにする事を目的として、機能的な核画分の調製方法を確立すると共に核タンパク質の調製方法を確立した。このようにして調製した核タンパク質には上記DNA断片と結合する特異的なタンパク質が存在する事をゲルシフト法で示す事ができた。様々なDNA断片との競合実験よりCCAATーboxを含んだ126塩基対DNA断片と核タンパク質が結合して、遺伝子の発現を制御していると結論した。欠失遺伝子を用いたin vivoにおける発現結果とゲルシフト法で得られた結果は良く一致していた。
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