研究課題/領域番号 |
03453141
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
瀬戸 治男 東京大学, 応用微生物研究所, 教授 (10013335)
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研究分担者 |
降旗 桂子 東京大学, 応用微生物研究所, 教務職員
島津 昭 東京大学, 応用微生物研究所, 助手 (50092234)
早川 洋一 東京大学, 応用微生物研究所, 助教授 (20208606)
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キーワード | 細胞増殖因子 / ラバンドアニン / エキソフォリアゾン / プロテインキナ-ゼの活性化 / カルシウム濃度の増大効果 |
研究概要 |
先ず、最初に無血清あるいは低血清条件下で、動物細胞の増殖を促進する物質を検索するためのスクリ-ニング系の確立を行うため、種々条件を検討した。その結果、血清1%存在下、NIH3T3細胞を用いるのが最も簡便であることが判明した。そこでこの条件下でスクリ-ニングを行ったところ、放線菌Streptomyces aeriouviferが強い動物細胞増殖作用を示す物質を生産していることを認めた。この活性物質を溶媒抽出、カラムクロトグラフィ-等の手段で純品として精製し、ラバンドシアニンと命名した。主としてNMRの解析により、この化合物がフェナジン骨格およびアルキル側鎖からなる構造を有することを証明した。 次いで、ラバンドシアニンの作用機作を研究し以下の結果を得た。(1)ラバンドシアニンはHeLa S3、NIH3T3、NIH3T3 T601細胞の増殖を低血清下(約1〜3%)の条件下で著しく促進する。しかし、無血清あるいは3%以上の血清の存在下では、全く効果を示さなかった。このことから本物質は血清中のある成分を代替していると考えられる。(2)Go/G_1期のプライムドコンピテンス状態に誘導したBALB/c3T3細胞をインスリン等の増殖因子と同様にS期へ移行させる。(3)マウスリンパ球をsubーoptimum条件下にCon A、PHAで刺激した時、幼若化を促進する。(4)K562細胞に対してホルボ-ルエステルと同様に水泡化を起こさせる。(5)ラバンドシアニンは細胞内カルシウム濃度を増大させる。(6)cAMP依存性プロテインキナ-ゼをcAMP非存在下で活性化する。 さらにスクリ-ニングを継続した結果、放線菌Streptomyces exfoliatusが活性物質を生産していることを認めた。この物質を溶媒抽出、クロマトグラフィ-で精製し、純品を得、エキソフォリアゾンと命名した。NMRによりその構造を決定した。本化合物はラバンドシアニンと同様の活性を示したが、その強さは約1/20であった。
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