研究課題/領域番号 |
03453141
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
瀬戸 治男 東京大学, 応用微生物研究所, 教授 (10013335)
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研究分担者 |
降旗 桂子 東京大学, 応用微生物研究所, 教務職員
池田 恵治 東京大学, 応用微生物研究所, 教務職員 (50092127)
早川 洋一 東京大学, 応用微生物研究所, 助教授 (20208606)
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キーワード | 細胞増殖因子 / レゾルシニン / エキソフォリアゾン / ラバンドシアニン / ミサキマイシン |
研究概要 |
昨年度に確立した低血清条件下で動物細胞の増殖を促進する物質のスクリーニング系を用いて研究を進めた。その結果、放線菌Streptomyces misakiensisが強い動物細胞増殖作用を示す物質を生産していることを認めた。この活性物質を菌体から溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー等の手段で純品として精製し、ミサキマイシンと命名した。主としてNMRの解析により、この化合物が5-hydroxy-2,7-dimethoxy-6-methyl-1,4-naphthoquinone構造を有することを証明した。本化合物は合成品としての報告はあるが、天然物として単離されたのは初めてである。1%の血清の存在下ミサキマイシンは、0.04〜1μg/mlの濃度でマウスNIH3T3線維芽細胞の増殖促進作用を示した。 さらにスクリーニングを行った結果、滑走細菌であるCytopghaga johansonaeが活性物質を生産していることを見出し、菌体から溶媒抽出、種々のクロマトグラフィーにより純品として単離した。主としてNMRによる構造解析の結果、本化合物は2-isoundecy1-5-isohexylresorcinolであることが判明した。本化合物は、1%の血清の存在下、NIH3T3細胞の増殖を0.2〜2μg/mlの濃度範囲で促進し、さらにDNAの合成を約25倍促進した。 また、昨年度に単離したエキソフォリアゾンの種々の細胞に対する活性を検討したところ、NIH3T3、T601およびCHL-IU細胞に対しては強い増殖促進活性を示すが、試験した他の細胞には全く活性を示さないことが判明した。なお、本試験系ではフォルボールエステルは全く活性を示さなかったことから、エキソフォリアゾンの細胞増殖促進作用はフォルボールエステルのそれとは異なると考えられる。
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