研究概要 |
(1)[^<35>S]メチオニンの自己分解生成物のうち,揮発性成分をHPLCにより標準物質と比較して同定し,また相対的な量を測定した。[1.1]まず安定剤入りメチオニン(>48TBq/mmol)からは、メチルメルカプタンが70.1%、硫化水素又は二酸化イオウが13.5%、ジメチルスルフィドが3.2%、メチルエチルスルフィドが2.1%、そしてジメチルジスルフィドは7.8%生じていた。[1.2]安定剤の入っていないメチオニン(1.5〜18.5GBq/mmol)からは、それぞれ32.3%、29.8%、2.1%、1.6%、33.0%の比率で生じていた。[1.3]安定剤入りのシステイン(>48TBq/mmol)からはメチルメルカプタン28.7%、硫化水素又は二酸化イオウ51.0%、またジメチルジスルフィドが3.1%生じた。 (2)非標識メチオニンを^<60>Coのガンマ線で照射し,生じた揮発性物質をGC/MSにて分析した。バイアル内に空気があり,叉安定化剤(2-メルカプトエタノールとピリジン-3,4-ジカルボン酸)を含まない場合には,ジメチルジスルフィドが生じた。他の揮発性分解物は見出していない。また,この生成量は照射線量と比例していた。 バイアルのヘッドスペースをヘリウムで置換した場合,または上記の安定剤を加えた場合には揮発性分解物は検出できなかった。またシステインについて同様の照射を行ったが,揮発性分解物は検出できなかった。 自己放射線分解の制御には、バイアル内の空気のヘリウム置換や安定剤添加も効果があるが、比放射能の高い標識化合物では、安定剤が入っていても相当に放射性分解生成物が生ずる。購入後速やかに使用するか、使用直前に精製すべきである。 (3)^<35>Sを含む複数核種の混合サンプルでも、燃焼と簡単な洗浄処理により、すべての核種を分別測定できる方法を確立した。
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