研究概要 |
1)オパイン類の迅速高感度分離定量法の確立 形質転換細胞において特異的に生産されるオクトピン,ノパリンなどのオパイン類のHPLCによる定量法について検討を加えた。グアニジノ基を有する3種のアミノ酸,アルギニン,オクトピン,ノパリンを標準物質とし,誘導体化条件の検討を行ったところ,5mMのベンゾインと3分間,100℃で反応させるのが,最適の条件であった。従って,上記3種のオパインのベンゾイン誘導体のHPLCによる分離が可能となった。 現在,実際の植物サンプルへの適用について検討している。 2)レポ-タ-遺伝子を組込んだTiープラスミドを保有するアグロバクテリウムを用いる形質転換制御物質検索法の確立 pIG221という35Sプロモ-タ-及びβーグルクロニダ-ゼ遺伝子(GUS遺伝子)を有するプラスミドと,もう一つTiープラスミドを有しているアグロバクテリウムとして,A281/pTiBo542,pIG221およびEHA101/pEHA101pIG221を使用した。pTiBo542は,supervirulent strain由来のもので,pEHA101はpTiBo542からTーDNA領域を削除したものであり,クラウンゴ-ル生成能が欠如している。タバコ葉に感染させ蛍光法により活性を測定する予備実験では,EHA101菌感染葉が接種後48,74時間で,高活性を示したので,以後の実験には,EHA101を用いた。接種後,約24時間後から活性が観察され,240時間後まで比活性は直線的に増加した。すなわち我々が以前に発見した一連の形質転換阻害剤による実験において,アグロバクテリウムの接種約12〜24時間後に薬剤を投与しても阻害が見いだされなかったことと一致しており,アグロバクテリウムによる植物の形質転換は接種後1日以内に完了していることが明らかとなった。
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