研究概要 |
1.魚肉エキス製造のための最適酸素剤を検索し、酸素反応時間に伴う遊離アミノ酸及びペプチドの経時変化を明らかにした。シリカ系多孔体に対する酸素の固定化法の検討を行い、最適固定化条件として、グルタルアルデヒド活性化pHを3とし、グルタルアルデヒド濃度0.3%、グルタルアルデヒド活性化時間0.5時間、カップリング時の酸素濃度200mg/ml(2×10^4U/ml)、カップリング時間12時間を採用することとした。この固定化酸素担体(300U/ml-support)を魚肉破砕試料に対して、30%になるようソロバン型リアクターに適用し、空気流量1.5kgf/cm^2(1.33l/min)、試料流速2.66ml/min(滞留時間2.5時間)の条件で連続酸素分解を行ったとき、遊離酸素系より高いアミノ酸量を維持し、かつペプチド量を原材料の200%程度に抑えた良好な魚肉エキスが得られた。 2.加熱処理を行ったイワシすり身をペプシンで加水分解し、その分解液(P-1)に含まれるアンジオテンシンI変換酸素(ACE)阻害ペプチドの単離と配列決定を行った。P-1をODS充填カラムに通し、25%エタノールで溶出した画分F-3にはSP-セファデックスによるイオン交換クロマトグラフィーの結果、4つの主要な活性画分が含まれていた。SP-セファデックスから0.1Mギ酸アンモニウムで2番目に溶出したB画分を逆相HPLCで分離し、多くのACE阻害活性を有するペプチドを得た。逆相HPLCで高い活性を有していた画分をB-1,B-2,B-3としてサイズ排除クロマトグラフィーと逆相HPLCのリクロマトを行い、それぞれを単離し、アミノ酸配列とIC_<50>を決定した。これらのペプチドは新規なACE阻害ペプチドであった。ホモロジー検索の結果、B-1は種々の起源のアクチンにおける17から21番目のアミノ酸配列と一致することが明らかとなった。
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