研究概要 |
まず基本原料の1つであるジシクロペンタジエノ-ルの両対掌体を光学的に純粋に得る手法の確立をはかり,有機溶媒中リパ-ゼを用いる不斉アシル化による分割法を確立した.さらに両対掌体を相互反転させるエナンチオメリゼ-ション法を確立し両者を任意の対掌体として機能させ得ることになった. この分子に対するコンベックス面からの立体選択的な試薬の接近を基礎として淡水産のノルベンゾモルファン型アルカロイドであるアファノルフィンの最初のエナンチオ制御合成を達成し,ついでカラバル豆アルカロイド,フィゾスグチミンの合成,アスピドスペルマ変型アルカロイドであるゴニオミチンの最初のエナンチオ制御合成による絶対配置の決定,ステロイド,エキレニンの実質的に最初のエナンチオ選択的合成を達成した.さらに同定した骨格の特性をフィッシャ-インド-ル環形成反応に適用し,この反応を初めてエナンチオ制御操作に用いる手法を確立した.これによってフィゾスチグミンおよびその同族体であるフィゾベニンのより効率的なエナンチオ制御合成,さらにβーキュパレノン,ヘルベルテンおよびアプリシン等のセスキテルペン類のエナンチオ制御合成にも拡張することが出来た.それに加えてルイス酸触媒存在下にこの基質から得られるエノン体がすぐれたジエノフィルとなることを見出し,これによって従来法に勝る完全なエナンチオならびに立体制御下のステロイドホルモンであるエストロンの短工程合成法を確立した.
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