研究概要 |
まず,シクロペンテン部を持つキラル合成素子(1)の原料合成の際の基質であるラセミアルコール(2)の合成における難点であった有毒な二酸化セレンに代わる安全な手法の開発について検討した結果,マンガン(III)アセテートを用いる効果的な手法を見出した。 一方,シクロヘキセノン部を持つキラル合成素子(3)の開発を新たに設計し,メソ型対称基質(4)をリパーゼ触媒によって高収率・高エナンチオ特異的にアセテート体(5)を得,これよりパラジウム触媒下の新規反応によって好収率で任意のキラリティーを持つシクロヘキセン素子(3)の合成法を確立した。 このシクロヘキセン素子(3)はシクロペンテノン素子(1)と同様に高いコンベックス面からの立体選択性を示し,さらに加熱によってシクロペンタジエンを放出してオレフィン2重結合を生成することを明かにした。これらの特性を反映させることによって各種のキラル3位置換シクロヘキセノン誘導体,キラル酸性アミノ酸α-aminoadipic acid,モノテルペンcarvone,シクリトールconduritol C,植物毒素eutypoxide B,のエナンチオ選択的な合成をそれぞれ達成することが出来た。
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