研究概要 |
和漢生薬をはじめ、インドネシア、マレ-シア、ペル-等で鎮静を目的に使用されてきた伝統薬、伝承薬を中心に素材を収集し、抽出エキスを作成した。マウスを用いた一般行動観察、自発運動抑制作用(抗メタンフェタミン作用を含む)、催眠延長作用、正常体温降下作用、酢酸ライジング抑制作用等の薬理活性検索を行った。和漢薬では 羌活、独活類としてAralia cordata、Notopterygium incisum、Angelica pubescensに活性が認められたため、それぞれのエキスより薬理活性を指標として各種クロマトグラフィ-分画を行い活性本体としてA.cordataよりentーpimaraー8(14),15ーdienー19ーoic acid(PA)とentーKaurー16ーenー19ーoic acid(KA)を、N.incisumよりnotopterolを、A.pubescensよりostholを単離、同定した。KA、PAともにip投与で有為な体温下降作用を示し、また経口投与で酢酸ライジング抑制作用、ペントバルビタ-ル誘導催眠延長作用、メタンフェタミンによる運動昂進にたいする用量依存的な抑制作用を示したが、KAのほうがPAよりも全般的に活性が強く観察された。notopterolは10mg/kg,poで200%の強い催眠延長を示し、酢酸ライジング抑制作用も観察されたが、体温下降作用や運動量の抑制は認められなかった。ostholは酢酸ライジングを用量依存的に抑制したが、体温下降作用や催眠延長は観察されなかった。マレ-シア生薬よりMacrosolen macrophyllus、ペル-生薬よりChenopodium ambrosioides、Culcitium cannescens等に薬理活性が観察されたため、それぞれのエキスより活性本体の分画を試み、C.ambrosioidcsよりascaridolを単離した。ascaridolは体温下降作用、酢酸ライジング抑制作用が観察されたが、用量の増加により一般行動観察において、異常行動がみられた。なお、詳細についてはそのほかの生薬とともにさらに検討続行中である。
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