研究概要 |
1.多目的キラル合成子の開発:ケトピン酸誘導体を不斉補助剤として用いる2-オキサゾロンとアゾジカルボン酸ジエステルとのジアステレオ選択的[4+2]環化付加反応により得られる新規キラル合成子の反応性を検討した結果、昨年度までに開発した合成子とは異なり、オキサゾロン骨格の4位置換基の導入を5位に先立って行うことができることが明らかになり、各種α-アミノ酸類のキラル合成ルートを確立した。 2.生理活性アミノアルコール類の合成:前年度までに確立した方法諭をもとに、各段階の反応条件を詳細に検討することにより、Ca^<2+>-ATPase活性化作用を示すシンビオラミドの構成成分であるジヒドロスフィンゴシンの合成に成功した。また、ケトピン酸誘導体中にポリハロアセチル基を導入することにより、Ru(II)触媒下分子内ラジカル環化反応を完全にジアステレオ選択的に行うことに成功し、スタチン及びそのハロゲン(Cl,F)置換アナログ体を光学的に純粋に効率良く合成した。 3.不斉補助剤の開発:前年度開発したビシクロ[2.2.2]オクタン環構造を持つ高性能不斉補助剤キラル2-オキサゾリジノン体の応用展開を行ない、Aldol反応及びMichael反応においても、従来のEvans試薬以上の高選択性を与えるばかりでなく、条件によっては逆のジアステレオ選択性を示すとの興味ある知見を得た。又、ヘキサメチルシクロペンタジエンと2-オキサゾロンとの[4+2]環化付加体の両対掌体を合成し、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環構造に基づく新規不斉補助剤としての有用性を実証した。
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