キシロシルグルコース型糖鎖(Xylαl-3Xylαl-3Glcβ-O-Ser)はウシ血液凝固VII因子とIX因子等に存在する。この新しいタイプの糖鎖の生理活性を研究するための一歩として、これらの糖鎖がどのような臓器に、又細胞内のどの場所に存在するかを蛍光標識法を用いて明らかにした。尿中より新しく発見したXyl-Xyl-Glcの構造を同定した。またキシロシルグルコース型糖鎖の臓器中での存在を調べた。凍結乾燥した肝臓を例としてヒドラジン分解-N-アセチル化法で切り出し、ピリジルアミノ化した。この時の過剰の試薬を取り除く方法を開発した。ピリジルアミノ化物は逆相とサイズ分画HPLCで分離し定量した。ここで開発した方法を用い、マウスとウシの各臓器よりPA-キシロシルグルコース型糖鎖を検出した所、脳、腎臓、血液に多く含まれていた。次に細胞のどの部分に存在するかを、細胞株HepG2より超遠心器を用いて、各細胞画分を調製し、これらよりのPA-少糖を得て調べた所、可溶性画分に最も多く含まれていた。糖鎖構造の明らかな糖蛋白質(例えばタカアミラーゼA)をMultiDrive XLとMultiphor IIを用いてゲル電気泳動を行い、凍結乾燥したゲルをヒドラジン分解-N-アセチル化、ゲルろ過でPA-糖鎖を調製し、ゲルから抽出したものでもPA-糖鎖が感度よく調整出来る条件を確立した。この条件を用いることにより今後のキシロシルグルコース型糖鎖がどのような糖蛋白質に含まれるかを検出出来る基礎が出来た。
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