研究課題/領域番号 |
03453165
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大野 素徳 九州大学, 理学部, 教授 (30038434)
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研究分担者 |
小川 智久 九州大学, 理学部, 助手 (80240901)
下東 康幸 九州大学, 理学部, 助教授 (00211293)
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キーワード | ハブ毒腺 / ホスホリパーゼA_2 / アイソザイム / 遺伝子工学 / 変異タンパク質 / cDNA / 融合タンパク質 / 分子進化 |
研究概要 |
徳之島ハブ毒腺の高活性型Asp-49-ホスホリパーゼA_2(PLA_2)及び2種の低活性型Lys-49-PLA_2(basic protein I及びIIと呼ぶ)は122アミノ酸残基より成り、約60%の相同を示す。このような類似の構造をもつPLA_2アイソザイム系は、PLA_2の構造機能相関を解明する至適な系である。本研究の第一の目的は、機能の構造要素を解明するために、遺伝子工学的手法により、両活性型PLA_2アイソザイムの変異タンパク質を合成することである。このため徳之島ハブ毒腺組織を用いてcDNAライブラリーを作製し、PLA_2アイソザイムcDNAのスクリーニングを行った。Asp-49-PLA_2、basic protein I及びbasic protein IIの外にThr-37-PLA_2及びPLX'-PLA_2のcDNAを得た。5種のcDNAの塩基配列の比較から、(1)非翻訳領域の相同性が翻訳領域のそれよりも遥かに高い、(2)翻訳領域のコドンの第1、第2及び第3位の塩基の置換の割合が同等である、という分子進化学的に新規な知見を得た。これは進化の中立説で云われるところの翻訳領域や非同義座位の機能的制約に合わないものである。このcDNAでみられる異常な結果をさらに解明するために、PLA_2アイソザイム遺伝子の構造解析に進むことになった。得られたPLA_2アイソザイムcDNAを用いて発現研究を実施した。多様なベクターと多くのE.Coli変異株を用いたが、発現はみられなかった。pBluescriptベクターを用いる融合タンパク質発現系で大量発現がみられるようになった。しかしinclusion bodyからの可溶化手段とトロンビンによる成熟タンパク質への変換過程の収率が悪く、諸種の改善法を実施している。一方、変異タンパク質の環元再酸化で適切なジスルフィド架橋の生成が起こることを確認するために、化学修飾Asp-49-PLA_2で巻もどし実験を行った。これには問題がないことがわかった。またAsp-49-PLA_2の筋収縮作用の機構を明らかとした。
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