研究概要 |
徳之島ハブ毒腺ホスホリパーゼA_2(PLA_2)アイソザイムcDNAの異常な構造の発見により、分子進化の内容をさらに詳細に知るために、徳之島ハブ毒腺PLA_2アイソザイム遺伝子の構造を調ベた。肝臓DNAライブラリーをAsp-49-PLA_2 cDNAの翻訳領域でスクリーニングし、Asp-49-PLA_2及びそれのアイソザイムをコードする4個の遺伝子(CpgPLA la,pgPLA 2a,pgPLA lb,及びpgPLA 2b)をとった。またLys-49-PLA_2であるbasic protein I及びIIをコードする遺伝子(BP I及びBP II)をとった。これらの遺伝子は4個のエキソン及び3個のイントロンからなっていた。転写開始部位はPrimer extension analysisにより翻訳開始部位より204ヌクレオチド上流にあることがわかった。6種のPLA_2アイソザイム遺伝子の塩基配列の比較の数理解析をおこなった。これより、(1)イントロン及び5'及び3'非翻訳領域の方が翻訳領域よりも相同性が高い(翻訳領域の同義座位の塩基の相異度K__-sに対するイントロンの塩基の相異度はK__-nは1/4、しかしイントロンに確かな二次構造は認められなかった)、(2)翻訳領域の同義座位の塩基の相異度K__-sに対する非同義座位の塩基の相異度K__-_Aの比は1に近いか或は大きい(1.8)(通常のアイザム系では0.2程度)、(3)翻訳領域の非同義座位の置換が全領域に及ぶ、ことがわかった。一方Asp-49-PLA_2、basic protein I及びbasic protein IIではリン脂質分解、筋肉懐死及び筋収縮活性がそれぞれ大きく異なっていた。これらのことは徳之島ハブ毒腺PLA_2アイソザイムがダーウィン進化をしてきたことを示しており、各アイソザイムが特有の生理機能をもつように適応的に進化してきたものと解釈される。この結果は、分子レベルの分子進化にダーウィン進化が起こることを示す画期的な成果である。 グリーンハブ毒の2種のPLA_2アミノ酸配列の決定を行った。
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