研究課題/領域番号 |
03453167
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
寺井 隆幸 東京大学, 工学部, 助教授 (90175472)
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研究分担者 |
小久保 三也 東京大学, 工学部, 助手 (20107577)
米岡 俊明 東京大学, 工学部, 助手 (40013221)
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キーワード | 増殖材料 / リチウムー鉛合金 / 核融合炉 / トリチウム / 放出化学形 / 拡散係数 / 物質移動係数 / 透過 |
研究概要 |
DT核融合炉実現のためには燃料サイクルの確立が必須であり、少なくとも燃料として消費する以上のトリチウムをブランケットにおいて増殖し、これを効率的に回収することが必要である。この目的で使用されるトリチウム増殖材料のうち、(1)増殖材と冷却材を兼用できる、(2)照射損傷を受けない、(3)トリチウム溶解度が小さい、(4)化学的安定性が比較的高い、(5)トリチウム増殖能が大きい、などの特色を有しているリチウムー鉛合金(Li_<17>Pb_<83>)のトリチウム増殖材としての適合性を定量的に評価するために、その化学的挙動に関して、(1)トリチウム溶解・放出特性、(2)化学反応性、(3)構造材料との両立性などの観点から実験およびモデル計算により明らかにすることを本研究の目的とした。平成2年度は本研究の初年度であり、以下に示す成果を得た。 (1)Li_<17>Pb_<83>合金の製造と分析 十分に組成や不純物が同定された試料を用いて研究を行なう必要があるため、充分に雰囲気を制御したグロ-ブボックスシステムで合金試料の製造を行ない、XRD、XMA、原子吸光分析、熱分析装置を用いることにより、組成分析・結晶構造解析・不純物分析・相分析などのキャラクタリゼ-ションを行った。 (2)Li_<17>Pb_<83>合金のトリチウム溶解度・放出特性の測定 (1)で製作した試料と東大弥生炉に設置した中性子高温照射下トリチウム放出実験装置を用い、中性子照射下におけるトリチウム放出化学形および放出速度を測定し、中性子照射下におけるLi_<17>Pb_<83>合金中でのトリチウム拡散係数・溶融合金相から気相への物質移動係数など放出に関与する素過程のパラメ-タを測定した。また、Li_<17>Pb_<83>合金と接触させたときの鉄やSUS304ステンレス鋼など配管構造材料のトリチウム透過速度を測定し、これが通常の気体用配管の場合と比べて大きくなること、およびこれらの配管表面に酸化被膜を形成することによりトリチウム透過を抑制できることを示した。
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