研究課題/領域番号 |
03453168
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
原子力学
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
柴田 俊一 近畿大学, 原子力研究所, 教授 (90027392)
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研究分担者 |
近藤 嘉秀 近畿大学, 原子力研究所, 講師 (70088467)
古賀 妙子 近畿大学, 原子力研究所, 助教授 (20088420)
中村 勝一 近畿大学, 原子力研究所, 助教授 (80088385)
森嶋 彌重 近畿大学, 原子力研究所, 教授 (80088418)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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キーワード | 腐食 / 一次冷却系 / ステンレス鋼板 / 溶出 / 高周波プラズマ発光分光分析装置 / 放射化法 / bending stress |
研究概要 |
原子炉一次冷却水には配管その他、原子炉の健全性を診断する上での有益な情報が含まれる。原子炉圧力容器や一次冷却系配管、ボイラー、熱交換器用などの主要構造材の腐食を早期に検知し、応力腐食割れによる大規模破断などを未然に防ぐことが必要である。そのために、模擬的溶出実験で溶液中に溶け出す微量の金属成分と配管などの破断との関係を推定し、破断予測の可能性を調べるための基礎実験を行った。すなわち一次冷却系などに使用されるオーステナイト系SUS-316L、その他の核種ステンレス鋼の小試験片について、(1)溶出液(2)溶出時間(3)溶出温度(4)熱処理温度などの溶出条件について、高周波プラズマ発光分光分析装置(島津ICPS-1000III)により分析し、また溶出成分の放射化分析法について行い、次の結果を得た。1.最も溶出量の大きい硝酸など他の溶出液の腐食生成物では、Fe、Ni、Mo、Cr、Siなどが溶出された。特にFe、Niは溶出時間とともに増加し、腐食の程度の推定、評価の目安となる。1000℃の加熱処理を行った鋼板での硝酸腐食生成物が顕著に高いので、熱処理の結果、組織を均一にし、安定状態にする。その結果一般的には耐食性をよくするが、熱処理による析出が粒界におこり、鋭敏化により顕著に高腐食の原因となった。Crの含有率の比較的高い304L、310S、321が耐硝酸性が良い。溶出100時間迄は時間に比例してFe、Cr増加するが、それ以上は溶出量は逆に減少した。初期には顕著に腐食がおこるが、時間がたつと停止して不動態化すると思われる現象を示した。2.10種の曲げ応力を加えた試験片SUS-316Lの腐食状況は、Fe、Crは100時間迄は時間に比例して溶出量は増加し、曲げ応力を加えない場合より、100時間の腐食は高く、検出元素は変わらなかった。3.放射化法では、^<56>Mnが最も鋭敏に検出可能で、熱処理400℃では^<56>Mn、^<60m>Coが検出された。温度が上がるにつれて他に^<52>V、^<101>Tcが検出されたが、一般的に^<56>Mn、^<52>Vが検出感度が良い。これらは溶出時間とともに溶出量が増加し、腐食の程度を検知するには都合が良いし、また長時間照射により検出された核種としては^<59>Fe、^<51>Cr、^<60>Coが注目される。
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