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本年度は、筑波山山麓、那須野ヶ原、八ヶ岳、新潟県五泉市周辺の各地域を対象に研究を進めた。
筑波山周辺諸河川の基底流、すなわち地下水が流出したものである基底流出水の水質について、現地調査を行った。その結果、山麓斜面の向きによる違いが顕著に見いだされた。これは、山麓を構成する物質の風化、侵食に関係するものである。溶存成分の少ない降水が地表面に達し、地下に浸透して流下する間に、ある種の物質が溶け出していることを示しており、したがって地層の風化・侵食に関わるものであると考えられる。ある物質が多く含まれている斜面と、そうでない斜面があることが、地質の方からわかっており、そのことが斜面の違いによる基底流の水質に反映されているものと考えられる。那須ヶ原の地下水の水質の空間的な変化、時間的な変化について資料を収集し、考察を行ったところ、扇状地面で行われている水田耕作による肥料の影響が、扇状地面の一部で、かなりはっきりと現れていることが分かった。また、八ヶ岳山麓の湧水の水質については、資料の収集をほぼ終えることができた。八ヶ岳でも、斜面の方向や地質の違いなどについて検討を加えるとともに、人為的な汚染、特に牧場などによる汚染の問題についても、併せて検討する予定である。新潟県五泉市の早出川左岸で、現地で調査・採水を行ったところ、二ヶ所の地下水中に硝酸イオンが含まれていることが確認された。この結果と他の採水地点の分析結果などから、早出川周辺の地下水の流動経路についての考察を行った。
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