(1)更新可能な資源の場合にその成長量が季節的に変動するとして、昆虫が摂食活動をする幼虫期をどの季節に行うように進化するかを1化性昆虫についてしらべた。摂食活動期における競争が厳しいと、孵化および蛹化のタイミングに個体間のバラツキが進化すること、また蛹化時期の分散の方がずっと大きくなる。しかし幼虫による摂食活動の植物におよぼす影響が弱いと同期する。 (2)同じく一年に2世代もしくは1世代のいずれが進化するかを調べた。生育期間が長く、卵サイズが小さく、成長速度が速いときには二化性が有利であることを示した。また2つの世代の長さが等しい対称二化解とともに、著しい違いのある非対称二化解がありうることを示した。 (3)イスラエルのヘブライ大学のDan Cohen教授が来日し、申請者の研究室に2ヶ月ほど滞在した。植物が環境中の栄養を競争的に取り込む場合における挙動をCohen教授との共同研究としてゲームモデルを発展させた。 (4)オランダのライデン大学にvan der Klaau教授として滞在し、Patsy Haccouとの共同研究にて、変動環境のもとでの適応に関する理論を発展させた。雄チョウの羽化季節に関する適応のモデルが、雌の羽化時期が毎年変動する場合の進化安定な雄の羽化パターンを解析し、雌に関して雄が持っている情報の確かさによって振る舞いが異なることを明らかにした。
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