研究概要 |
トウモロコシの正常株と矮性株(D_8)から抽出して得られた粗タンパク質を,GA_3ー結合AEHセファロ-スカラムにかけ,それぞれからジベレリン結合タンパク質を単離した。それぞれのジベレリン結合タンパク質と ^3HーGA_4との結合は,活性型ジベレリン(GA_1,GA_3)で阻害されたが,不活性型ジベレリン(GA_<13>)では阻害されなかった。また ^3HーGA_4のジベレリン結合タンパク質への結合は,可逆的なものであることが明らかになった。さらに,種々の濃度の ^3HーGA_4における結合活性を測定し,その結果をスカッチャ-ドプロットして解離定数を求めたところ,正常株では3.2×10^<-7>と1.3×10^<-6>Mの2つの結合部位が見いだされたが,矮性株D_8では3.2×10^<-7>Mという高い親和性を有する結合部位が見いだされず,低い親和性を有する結合部位のみであった。以上の結果から,アフィニィティ-クロマトグラフィ-の手法を用いて単離したジベレリン結合タンパク質は,リセプタ-として3条件を備えていることが明らかになった。さらに,解離定数の結果,矮性株_8は,ジベレリンに対して高い親和性を有する結合タンパク質を欠いた変異株である可能性が示唆された。この結果は,D_8に関する生理学的,生化学的,遺伝学的な研究結果とも一致する。 このことをさらに確めるため,正常株とD_8から得られたジベレリン結合タンパク質を,ゲル電気泳動で分離して比較したところ,1種類のタンパク質だけがD_8には存在せず,他のものは両者に共通であった。現在,D_8に存在しないで正常株に存在するジベレリン結合タンパク質を,ゲル濾過,イオン交換クロマトグラフィ-を用いて精製を進めている。
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