研究課題
1.脂質転移タンパク質および相同タンパク質の機能ヒマの脂質転移タンパク質(LTP)は発芽期に遺伝子発現されるが、登熟期においても遺伝子発現された。植物組織に見出されるLTP量は前者よりも後者の方が多かった。登熟期に合成されるLTPは、種子の形成が進行し、種子内に油脂が蓄積される時期に増大した。LTPはトリアシルグリセロールを転移せず、脂肪酸およびアシルCoAを転移するので、油脂の合成時にその素材となる脂肪酸またはアシルCoAの輸送にはたらくことが考えられる。しかし、ヒマの登熟が進むにつれて、LTPは種子をとりまく果実組織に見出されるようになり、やがて果皮外の分泌されるものもあるので、LTPの役割としては、種子および果実組織の細胞構築に必要な素材の脂肪酸残基の供給にはたらいている可能性が高い。2.脂質転移タンパク質および相同タンパク遺伝子のクローニングすでに調製ずみのヒマLTP-Cイソ型のcDNAをプローブとして、LTP-CのゲノムDNAの單離を行ない、次の結果を得た。ヒマのゲノムDNAを各種制限酵素で切断後、サザン法で解析し、LTP-C遺伝子は5コピー/ゲノム相当存在することがわかった。cDNAの塩基配列をもとに、2か処のプライマーを設定し、ゲノムDNAを鋳型として、PCR法でLTP-CのゲノムDNAを單離した。サザン法でLTP-CDNAであることを同定し、塩基配列を決定した。cDNAのATGを1とした場合、エクソンは1-272および374-381であり、内部に一つのイントロンを含んでいた。第2エクソンはイソロイシンおよびヒスチジンのみをコードしていた。cDNAとの比較から、8か処にアミノ酸変異が生じない塩基置換が存在することがわかった。
すべて その他
すべて 文献書誌 (2件)