研究概要 |
1.タバコ培養細胞の微小管・細胞膜架橋構造 タバコ培養細胞より調製した細胞膜ゴ-スト上に残された微小管とゴ-スト膜の間に,架橋構造が存在することを,電子顕微鏡観察により,確認した。膜ゴ-スト上の微小管は低温Ca^<2+>処理により消失したが,微小管の消失したゴ-スト上で,液胞を取の除いたプロトプラストより得た抽出液中のチュ-ブリンを重合させると,重合した微小管は膜ゴ-ストと結合した。しかし微小管を消失させた膜ゴ-ストをトリプシンや0.6M KCl処理すると,重合した微小管はゴ-スト膜に結合しなくなった。これらの結果は,架橋構造の本体が蛋白貭であること,また0.6M KClによって膜から抽出可能であることを示すものと考えられる。 2.トウモロコシにおけるジベレリンの微小管安定化作用 トウモロコシのメソコチルの微小管はジベレリン処理によって安定化される。微小管の安定性は微小管・細胞膜架橋構造に依存すると考えられるが,細胞壁の性貭によっても影響されるので,ジベレリンによる微小管の安定化が細胞壁の性貭の変化による可能性が無視できない。ジベレリンが処理したトウモロコシ芽生えのメソコチルより調製したプロトプラストを用い,細胞壁を持たないプロトプラストにおいてもジベレリンが微小管の安定化をもたらすことを明らかにした。この結果は,ジベレリンが微小管・細胞膜架橋構造の変化を通して微小管の安定化を引き起こしている可能性をより強くするものと考えられる。 3.ジベレリンによる生長促進の起こらないオヽムギ矮性種の探索 微小管・細胞膜架橋構造に異常のある突然変異体植物は,架橋蛋白貭の研究にとって有力な武器となり得る。そのような突然変異体を探索する目的で,表記矮性種の探索を行い,3種類の矮性種を選び出した。これらはアミラ-ゼ合成誘導についてはジベレリン感受性を示した。
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