1.タバコ培養細胞からの微小管架橋蛋白質の単離 タバコ培養細胞より調製した液胞を持たない、いわゆる、ミニプロトプラストから得た抽出液中のチューブリンが、微小管安定化剤の存在しない条件下でも重合すること、また、重合した微小管は架橋構造を介して束を形成していることを明らかにした。さらに、ミニプロトプラスト抽出液より、微小管を束化する働きがある65Kd蛋白質を単離した。単離した蛋白質の抗体を調製し、間接蛍光抗体染色法により、65Kd蛋白質が細胞内でも微小管と同じ位置に存在していることを明らかにした。 2.タバコ培養細胞の微小管・細胞膜架橋構造 タバコ培養細胞より調製した膜ゴーストが、タバコ培養細胞のミニプロトブラストの抽出液中で重合した微小管を付着させること、このゴーストの微小管付着能が、ゴーストをプロテアーゼ、または0.6M KCl溶液で処理することにより取り除かれることを明らかにした。さらに、ゴーストをKCl処理した場合でも抽出液にタキソールを加え、重合を促進、あるいは微小管を安定化させると付着が起きることを見いだし、KClでゴーストより取り除かれる因子が微小管を安定化させる因子である可能性を示した。また、粗抽出液中で重合させた微小管はKCl処理したゴーストに付着するが、精製したチューブリンを重合させた場合には、タキソール存在下でも付着しないことを明らかにし、粗抽出液中に微小管を細胞膜に付着させるのに必要な因子が含まれている可能性を示した。 3.トウモロコシにおけるジベレリンの微小管安定化作用 ジベレリンがトウモロコシの芽生えのメソコチル細胞の微小管を安定化させることを見いだした。さらに、ジベレリン処理した芽生えのメソコチルか調製したプロトプラストの微小管のほうが、無処理の芽生えから調製したプロトプラストの微小管より安定であることを確認した。
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