研究概要 |
ケツルアズキ発芽種子の子葉で著量に発現するチオ-ル・エンドペプチダ-ゼ(SHーEP)遺伝子については、すでに塩基配列を決定しているが,今回その遺伝子構成を調べ,転写開始点を決定した。SHーEPは下記のEPーC1と高い相同性(93%)を示すことから、SHーEPについてもケワルアズキ果実成熟期のさやにおける発現を,タンパク質免疫ブロット法およびRNAブロットハイブリダイゼ-ション法を用いて調べた。その結果,SHーEPは発芽種子の子葉のみではなく、種子成熟期さやでも発現することが分かり,このことは同一遺伝子が植物生活環の中で2度にわたり特異的発現を示すことを示唆しており,特異的発現にかかわる制御配列の解析に興味深い問題を提示した。SHーEPについては,発現の器官特異性や他のマメ科種子子葉での発現も解析した。制御配列を比較する目的で,SHーEPと類似の発現パタ-ンを示すとみられるαーアミラ-ゼについても,器官特異性,さやにおける発現量の変動,マメ科植物における分布などを調べた。また,アミラ-ゼ遺伝子を単離し、塩基配列の解析を開始した。次に,インゲンマメ果実成熟期のさやで高い発現を示すチオ-ル・エンドペプチダ-ゼ(EPーC1)の遺伝子についても,瞬接領域を含む領域の遺伝子耕造を解析し、全塩基配列および転写開始点を決定した。EPーC1につていは,制御配列を持定する目的で,上流域を欠失した変を作成し,これをベクタ-に組み込んでのち,パ-ティクルガン法によりインゲンマメ子葉に打ちこんでその発現を調べている。またSHーEPとは逆に,EPーC1遺伝子がインゲンマメのさや以外の器官でいかに発現するかを,上記の方法によって調べた。その結果,EPーC1はとくに発芽子葉で高い発現を示すことが分かった。この際,免疫ブロック法により,EPーC1の前駆体と推定されるポリペプチドが見出された。この結果はEPーC1の翻訳後修飾の研究に新たな知見を与えるものである。
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