研究課題/領域番号 |
03454016
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研究機関 | 国立科学博物館 |
研究代表者 |
渡辺 眞之 国立科学博物館, 植物研究部, 室長 (30000136)
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研究分担者 |
加藤 辰己 国立科学博物館, 筑波実験植物園, 研究官 (40177457)
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キーワード | ミクロキスティス属藍藻 / Microcystis / 酵素多型 / 遺伝子型組成 / 季節的変動 / 霞ヶ浦 |
研究概要 |
研究計画にしたがい、霞ヶ浦湖心の定点観測点において、延べ4回(平成4年6、7、9、10月の各月下旬に1回ずつ)にわたってサンプリング(ミクロキスティス属藍藻を含む湖水の採取)を行った。当初計画では平成5年1月にも行う予定であったが、天候不順および採水担当の研究分担者(加藤)の体調不調により、やむを得ず断念した。 採取したサンプルからは、それぞれ100株のミクロキスティス属藍藻を単離した。単離した藍藻は順次大量培養に移し、6および7月採取分にうち培養に成功した全株、9および10月採取分のうちの一部、合計約200株について凍結乾燥法により試料化を行った。 試料化された株の約半数については、平成5年2月時点でアイソザイムの検出が完了し、遺伝子型が決定されている。解析は継続中であり、本年度の解析の目標である遺伝子型組成の季節的変動の確定には至っていないが、途中経過として以下の知見が得られている。 (1)既知の5分類群のミクロキスティス属藍藻のうち、霞ヶ浦における従来の調査ではしばしば高頻度で観察されていたMicrocystis viridisおよびM.wesenbergiiの2分類群(いずれも特異な遺伝子型を示すため他から容易に識別できる)が、研究初年度(平成3年度)に引き続き今年度(平成4年度)の調査でもほとんど検出されていない。 (2)遺伝子型の決定がほぽ完了した6および7月採取分については、平成3年度と平成4年度とで遺伝子型の組成に差異が認められる。また、9および10月採取については、少なくとも3つの分類群(M.aeruginosa S1型、M.aeruginosa S2型、およびM.aeruginosa L型)の間で、出現頻度に差異が認められる。 これらの新知見は、霞ヶ浦におけるミクロキスティス属藍藻の遺伝子型組成に経年および季節的変動があることを示すデータとして重要であり、本研究の所期の目的であるミクロキスティス属藍藻の自然環境下での存在様式の解明を、確実に進歩させる成果と考えられる。
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