研究概要 |
1.ヒトデ卵に予めとり込ませたブロモウラシルを標識にして受精后第1回のDNA複製時期(S期)をしらべてきたが,初期ヒトデ卵では検出に十分な量のブロモウラシルが卵内に入るまでには10分以上かかるため,従来はS期についてただその開始時刻が特定できるのみであった。本年度はこのとりこみ方法を改善し,3分間でブロモウラシルが卵内に入るようになった。新しいこの方法で可能になった,ブロモウラシルのパルス標識により,第1回目のS期にあっては,精子前核に由来すると思われる融合核の部分が,卵前核由来の部分に比べてよりおそくまでS期を続けていることがわかった。この,第1回S期の期間と,次にくる核分裂,更に第2回以后のS期との時間間隔を,いくつかの条件下で培養した胚につて測り始めている。 2.核分裂前期の進行に伴うクロマチンのパタンの変化を定量的に長現するパラメ-タ-をつくり出したいと考え,本年度購入になるコンピュ-タ-のメモリ-にとり込んだヒトデ卵核のクロマチンパタンの2次元像を解析・処理している。これも本年購入の画像処理市販ソフトに依存して,それが提供する種々の画像処理ユニットを組み合せ,いかなる組み合せの処理であれば,クロマチンパタンの「客観的な」パラメ-タが得られるか現在まだテスト中である。 3.卵細胞を人工的に融合させる安定な手段をさがしており,ヒトデの未成熟卵母細胞については,ポリエチレングリコ-ルと直流電気パルスの併用が有効とわかった。まだ,低い頻度で融合が実現しただけで更に改善を努力中である。バフンウニの受精卵についても同様の方法を試みているが,恐らく卵長の徴じゅう毛の存在のためか,まだ融合に成功していない。
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