本研究の目的のひとつに上げている、日本各地の三畳紀石灰岩中の小型有孔虫化石と共存化石との化石層位学的価値の検討に関して、その基礎資料を収集するため、今年度は、中部地方特に美濃帯に点在する三畳紀石灰岩、関東山地の三宝山帯の石灰岩、武甲山や上吉田層中の三畳紀石灰岩、さらに足尾山地など、岩石資料の収集と野外調査を予定していたが、前年度天候不順が野外調査を断念せざるをえなかった、愛媛県の田穂石灰岩を始め、北海道の上磯石灰岩の野外調査を優先して行ない、上記のものについては、すでに収集してある分について室内処理を行なった。また相馬市周辺に分布する中生界の野外再調査および層位学的研究や、気仙沼市周辺の調査も一部進めることができた。 室内における処理作業は、前年度同様、定方位薄片の作成等を随時行なった他、古生物学的研究に必要となる文献等の収集も同様進めた。入手のなかなか困難なものもまだあるが、次年度により積極的に収集する計画でいる。また次年度は、最終年度にあたるため、これまで収集した基礎的データをもとに、研究目的の古生物地理的評価の検討、および、古生代型と中・新生代型との間をつなぐ進化史的重要性においての古生物学的問題点の解明について等も検討を行ないながら、最終的なまとめを行なう予定である。また途中、再検討のための補足的、また不足および追加の野外調査・試料の採集として、北海道の浜頓別および目梨泊の石灰岩について検討を行なう計画でいる。
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