イネ葉身中遊離アミノ酸の転流、胚乳への蓄積及び食味に関する基礎的研究のため、イネの止葉、及びその4葉下を展開直後から経時的にサンプリングし遊離アミノ酸の変動をHPLCで分析した。 供試材料は日本型3品種、インド型3品種、ジャワ型2品種、モチ2品種の計10品種のイネを用いた。1992年4月に播種、5月に圃場に移植した。サンプリングは葉身を7月1日から9月16日までに計11回経時的におこなった。葉身はサンプリング直後に凍結乾燥し、70%エタノールで遊離アミノ酸を抽出した。抽出したアミノ酸は、ロータリーエバポレターで減圧乾固し、TFA溶液で溶解後、Sep-pakc18カラム(Waters製)で精製した。アミノ酸はPTCラベル化し、PICO・TAGアミノ酸用カラム(Waters製)で分析した。 レイメイ(日本型)、台中在来1号(インド型)、Lady Wright(ジャワ型)の止葉における遊離アミノ酸の時期別の変動を検討した。転流アミノ酸であるアスパラギン酸、その類似物質のグルタミンとグルタミン酸、およびバリンとロイシン、チロシンの6種類についてみると、各品種とも、止葉におけるアミノ酸の総量は、展開終了直後から老化ともない減少する傾向が観察された。展開終了後、アスパラギン酸、グルタミン酸の含有量が高かった。しかしながら、葉身の老化にともない急速に減少した。一方、比較的減少の程度の鈍いロイシンの含有率が高まった。また、日本型品種と比較して、インド型品種ではバリンの含有量が、またジャワ型品種ではグルタミン酸の含有率が展開終了時において高かった。アミノ酸の変動パターンはジャワ型品種が、インド型品種と比較して、日本型品種と類似する傾向が観察された。
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