ルビスコは、葉身の中で多量に存在するタンパク質である。本研究では、ルビスコの合成、分解の過程を葉令の差異、葉位の差異によるアミノ酸の変動を指標として検討した。また、ルビスコの分解の結果生ずるアミノ酸の貯蔵タンパク質への再合成の過程もアミノ酸の消長を指標として検討した。 アミノ酸のうち、アミノ酸の転流に関与するとされているアスパラギン酸グループに属するアスパラギン酸及びピイルビン酸を前駆体とし、分岐アミノ酸グループに属するバリンとロイシン、さらにグルタミン酸グループに属するグルタミン酸が葉身に多く存在した これらのアミノ酸は、止葉の老化とともに葉身から急速に減少する傾向を示した。しかし、これらのアミノ酸の減少傾向は、生態種・品種間で差異がみられ、日本型品種では完熟期にはロイシンを除き、他のアミノ酸は検出不可能となった。ジャワ型品種でも同様な結果がみられたが、ロイシンは比較的多量に存在する傾向がみられた。一方、インド型品種では、バリンが多量に残存する傾向がみられた。 ルビスコのアミノ酸配列に関しては多くの研究があり、これまで知られているアミノ酸全てが存在するのであるが、本研究の結果はルビスコ自体は常に合成・分解の過程にあり、特に分解過程では転流型の数種類のアミノ酸に変換されることを示している。さらに、ルビスコ以外のタンパク質も同じ過程をたどっていると推察される。光合成は、ルビスコの量よりも遊離アミノ酸の量に比例することが知られている。従って、遊離アミノ酸の量的変動の研究は今後より重要視されるべきである。
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